岡山県立岡山操山高等学校

岡山操山中学校 通信制課程
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平成28年度 三学期始業式

2017年01月06日

平成28年度 三学期始業式 式辞  H29.1.6(金)
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 皆さん、明けましておめでとうございます。

 新年早々、中学校・高校の生徒の皆さんの元気な顔を見ることができて、とても嬉しいです。
 高校3年生の皆さんは、1週間後に大学入試センター試験を迎えます。これまでの頑張りに自信を持ち、人生の目標を再確認しながら、実力を十分に発揮されることを願っています。センター試験前に、私から「激励の言葉」を述べさせていただく機会があるようですので、そのとき、改めてエールを送りたいと思います。

 中学生の皆さんや高校1、2年生の皆さんにとっても、3学期は様々な活動の仕上げの時期です。学習に、部活動に、生徒会活動に、そして「未来航路」のまとめに、全力で頑張ってください。

 3学期の始まりに当たり、一つだけ、中学生、高校生の皆さんにお伝えしたい言葉があります。
 それは、少し前になりますが、昨年の8月半ば、高校1年生全員と2年生の希望者を対象に「卒業生と語る会」があり、その際、操山高校出身の現役の大学生が、自分の本校での体験談や大学生になってからの思いなどを話してくれたときの、次のような言葉です。
「大学では、自分の頭で考えることが大切。大学では高校までのように引っ張ってくれる人はいない。引っ張ってくれることに慣れている人は大学以降は伸びないし、思考停止してしまう。高校のときから、周りに流されず、自分で考える姿勢を持ってほしい。そして、何事に対しても主体的に取り組むことが大切だ。」
 私はこの卒業生の言葉を聞いて、30年ほど前に読んだ本の一節を思い出しました。それは、英文学者の外山(とやま)滋(しげ)比(ひ)古(こ)先生が書かれた「思考の整理学」という本の一節「グライダーと飛行機」です。
 この本は、今でも国内の大学で売れ続けており、大学入試にもよく出題されるので、知っている人も多いと思います。
 外山先生は、人間には「グライダー能力」と「飛行機能力」とがあり、引っ張ってもらって飛ぶグライダーのように、受動的に知識を得るのが前者。エンジンを積んだ飛行機のように、自分でものごとを発明、発見するのが後者と書かれています。本校の教育が目指している、自分で課題を見つけ、解決する力は、後者の「飛行機能力」と言っていいと思います。
 ただ、「グライダー能力」を欠いていては、基本的知識すら習得できません。何も知らないで飛行機のように独力で飛ぼうとすれば、どんな事故になるか分かりません。
 私は、操山生には、さきほど紹介した本校の卒業生のように、「グライダー兼飛行機」のような人間に育ってもらいたいと思っています。グライダーのように、最初は引っ張ってもらいながら、やがては自らの力で大空を飛ぶ飛行機のように、高い志を持って、操山でのかけがえのない時期を、前向きに過ごしてほしいと思っています。
 グライダーから飛行機になる転機は、「なぜ」という疑問を持つことから始まると思います。日本人は問いを立てることが下手だと言われていますが、単に教科書等の字面をなぞるだけでなく、「なぜそうなのか」「その根拠は何か」「ほかの選択肢はなぜ成り立たないのか」などの問いを自ら立て、それらの問いに対し、主体的にチャレンジし、深く考え、仲間同士で議論を重ねる中で、はじめて、人生のいろいろな課題を乗り越える本物の「エンジン」が作られていくのだと思います。SGHをはじめとする本校の教育のねらいは、実はそこにあると私は考えています。

 この1年、全ての操山中・高生が、風をきってさわやかに大空を舞うグライダーの美しさと、どんなに困難な状況にあっても、最後まであきらめることなく自分のエンジンで飛んでいく飛行機のたくましさを兼ね備えた人間へと成長することを期待し、3学期始業式に当たっての式辞とします。
 今年1年、共に頑張りましょう。終わります。