岡山県立岡山操山高等学校

岡山操山中学校 通信制課程
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3学期終業式

2017年03月22日

3学期終業式式辞  H29.3.21(火)

 皆さん、こんにちは。

 平成28年度の3学期も今日で終わります。
 中学1年生、高校1年生の皆さんは、中学校・高校に入学して1年経ち、学校生活にも慣れ、友人関係も広がってきていると思いますが、4月からはそれぞれ学校の中心学年として活躍することになります。
 中学2年生、高校2年生の皆さんは、3年生が卒業し、それぞれの学校をリードする最上級生となります。総仕上げとしての最終学年に向けて、この春休みにしっかりと準備をしてください。

 さて、平成28年度が終わろうとしている今、私から、在校生の皆さんに、改めて考えてほしいことがあります。それは、皆さんは、なぜ、何のために勉強しているのか、学ぶ目的は何かということです。
本校のほとんどの生徒は、「志望する大学に合格するため」と答えるでしょう。では、何のために大学に行くのでしょう。
 私は、大学は、皆さんが社会の中で自立し、それぞれの力を発揮しながら素敵な人生を送るために、そしてより素晴らしい社会をみんなで力を合わせてつくるために必要な知識や技能等を身に付けるところだと考えています。
では、将来、皆さんはどこで暮らし、どんな職業に就いて、どんな社会をつくろうとしているのでしょうか。また、そのために、皆さんは、大学でどんな学問を専門に学ぼうとしているのでしょうか。大学での専門と就職先は、必ずしも結び付くものばかりではありませんが、この春休み、自分の将来の夢や目標を、是非、言葉にしてノートにまとめてみてほしいと思います。その過程で、学習への取り組み方、向き合い方など、今までの操山での自分自身を振り返ってみてほしいと思います。

 ここで皆さんに、一つだけ紹介したい言葉があります。
 それは、昨年のリオデジャネイロオリンピックで、金メダル2個など全階級で表彰台に立った「柔道全日本男子」を率いた井上康生監督の言葉です。柔道は日本発祥のいわゆるお家芸のスポーツでしたが、世界中へ競技が普及することに伴い、ルール等の国際化やレベルアップが進み、日本の柔道は世界で勝てなくなっていきました。リオの前のロンドンオリンピックでは、男子柔道は、史上初めて金メダルゼロに終わっていました。
 井上監督自身、2000年シドニーオリンピック男子100キロ級で金メダルを取った有名な選手でしたが、現役を引退した翌年から2年間、指導者になるためイギリスに留学し、周囲の反対を押し切って、慣例にとらわれない先進的な指導法を取り入れてきました。
 井上監督は、ある新聞のインタビューで、「リオオリンピックで金メダルを獲得した73キロ級の大野将平選手と90キロ級のベイカー茉秋(ましゅう)選手の共通点は何か?」との問いに、こう答えています。
 「一言で言えば、自立心だと思う。何をやるべきか、自らの戦いに何が必要か、考えがまとまっていた。外発的に詰め込まれるのではなく、自分自身で考え、理解し、全て言葉にできるぐらいの能力がないとオリンピックでは勝てない。そうした能力の根源にあるのは知識だと思う。読書し、人の話に耳を傾け、自ら体験を積む。知識が豊富であればあるほど、いろいろな考え方を持てる。自らをコントロールし、マネジメントする能力がある選手だけが、数々のドラマが起きうる4年に1度のその日を勝ち抜いていける。」
 この言葉の中に、一流のアスリートにも、社会で活躍するリーダーにも、そして入試を突破できる受験生にも共通する資質が示されていると、私は思います。
 それは、いろいろなチャンネルを使い、どん欲に吸収した知識を活用し、あるべき自分の将来について主体的にかつ具体的に考え、それをまとめ表現する力。そして、その目標に向け、自分を律する力です。言葉を換えれば、「ありたい未来を描いてそれを自ら実現していく」人間としての総合的な力だ言えるでしょう。
 東大、京大などスーパーグローバルユニバーシティと言われる日本の大学では、世界規模での優秀な人材獲得競争の中で、教育内容や教育方法がどんどん進化してきています。それに伴い、大学入試制度も試験問題の内容も変わってきています。グローバル化が進展する中、日々の授業や未来航路等を通して自ら知識をどん欲に吸収し、それを活用しながら論理的に考え抜く力、そして考えたことを、相手に説得力を持って、分かりやすく伝える表現力が、大学入試においても実社会においても、一層評価されていくでしょう。
 皆さんが、これから世界の人々と向き合い関わり合いながら、未来の社会を切り拓いていくために求められる資質や能力を、われわれ操山中・高の教職員は明確にしながら、教育を展開しています。

 新しい年度に入る前に、中学生も高校生も、将来の自分の夢や目標という「ゴール」を逆算しながら、「あなたが入るべき」大学・学部・学科はどこか、そこに入るためにはどのような力が必要なのか、そしてその力を身に付けるために、今、何をしなければいけないのかについて、もう一度、考えをまとめておいてください。

 最後に。明確な目的意識を持って大学に入った学生は、大学入学後、大きく伸びていきます。「目的」は実現するためにあります。それぞれの目的の実現に向けて、自立心を持って、努力を積み重ねていく皆さんを、心から応援しています。
来年度も、一緒に頑張りましょう。これで式辞を終わります。