岡山県立岡山操山高等学校

岡山操山中学校 通信制課程
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第2学期始業式

2017年08月29日

平成29年度 2学期始業式 校長式辞     H29.8.28(月)


   

 皆さん、おはようございます。
 2学期の始業式に、こうして皆さんの顔を見ることができて、とても嬉しいです。
 この夏、中学生、高校生とも、県内外の各種の大会等でとても頑張ってくれました。また、普段よりは自由に使える時間を有効に活用し、それぞれの夢や目標の実現に向けて努力を重ねてきたことと思います。

 さて今日は、私がこの夏出会った素敵な言葉を一つだけ皆さんにお伝えし、式辞とします。

 昭和の初め、吉岡隆徳という陸上の短距離選手がいました。1932年のロサンゼルス・オリンピックに参加し、100mで6位入賞。1935年には10秒3の世界タイ記録を出し、「暁の超特急」と呼ばれた人です。ノンフィクション作家の保阪正康さんが新聞に連載している「昭和史のかたち」という記事に、晩年、入院していた吉岡さんを訪ねたときの回想を書いていました。保阪さんは病院の面会室で吉岡さんにこう聞いたそうです。「あなたはなぜ100mを走り続けたのですか。」
 後日、吉岡さん本人から保阪さんに電話があり、こう答えたそうです。
 「あの後考えたよ。つまり走るのが好きだったんだね。もう私も長くはないけれど、いい質問をしてくれてありがとう。」
 吉岡さんは、頼まれると色紙にいつも「努力」と書いていたそうです。
 自分が本当に「好き」なことは何か、自分が目指したい「好きな」学問は何か、自分が将来就きたい「好きな」仕事は何か・・・。
 皆さん、この2学期は是非、自分の「好き」を見つけてください。そしてその「好き」なものに向けて、最大限の「努力」を積み重ねてください。

 でも、「好き」なものが見つからない人もいると思います。私も20年以上前、大好きな教員という仕事から、そして生徒たちから離れ、県教育委員会に勤め始めたときは、とてもつらかったです。

 人が生きていく上では、理解力や記憶力等の「認知能力」と、目標への情熱、意欲、粘り強さなどの「非認知能力」の両方が大切ですが、県教委での勤務経験から、私は「ものごとを楽しむ能力」が、人間が生きていく上でとても大切なものではないかと思っています。
 勉強も部活動も学校行事も、大好きで仕方がないという人は別でしょうが、最初から楽しめる人など、まずいないでしょう。多分、皆さんが進学や就職などで人生の新しいステージに立つときも、同じだと思います。
 ここで私が言う「ものごとを楽しむ能力」とは、つらさや苦しさの中に、「楽しさや喜びを見出す能力」と言い換えることができると思います。
 勉強を例にとれば、つらく苦しい勉強の中に自分で意味や価値を見出し、勉強を通してしか達成できない夢や目標を設定する。その実現に向け、時間をかけて試行錯誤しながら、あるいは先生方にアドバイスを頂きながら、学習方法を身に付け、新たな知識を得たり、できなかったことができたりするようになる。そのような経験を通して、勉強の楽しさや喜びを見出し、自ら勉強を進めるようになる。
 「勉強が楽しい」と感じるようになれば、そして、正しい「学び方」が身に付けば、あとは自分で学んでいけます。これは、勉強に限らず部活動などでも同じだと思います。私も、県教委での長く苦しかった仕事も、今の自分を作ってくれている大切な一部だと思っています。人生に無駄なことなど何もありません。

 もうすぐ、松柏祭が始まります。「だれかがやってくれる」という発想から脱し、松柏祭に積極的に参加し、自分たちで「非日常」を作り上げていく経験を通して、様々な困難や苦しさを喜びに変えるための「楽しむ能力」を是非磨いてください。そして、仲間を勇気付け、励ます声掛けをたくさんしてください。必ずあなたも元気になります。

 この松柏祭が終わった頃、高校3年生の皆さんはセンター試験まであと4か月という時期を迎えます。松柏祭での熱量全てをエネルギーに換えて大学受験を乗り越え、人生の大海原に、たくましく漕ぎ出してくれることを期待しています。
 松柏祭が、そして、これから始まる2学期が、今まで以上に素晴らしいものとなることを祈念し、式辞を終わります。