岡山県立岡山操山高等学校

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平成30年第一学期終業式 校長式辞

2018年07月20日

校長式辞

平成30年度第一学期終業式
H30.7.19(木) 11:10~ 

皆さん、こんにちは。

まず最初に、このたびの西日本豪雨で被災された全ての皆さんに対し、心からお見舞いを申し上げます。

被災地において亡くなられた方は14府県223人。16府県で約4800人の方が、今も避難生活を余儀なくされています。私は先週、被災された方を訪問し、少しだけ片付けを手伝ってきました。これから、復興に向けた息の長い支援が求められています。皆さんも、自分にできることについて、保護者の方と話をしてみてください。

さて、今日で1学期が終わります。4月から、日々の授業や未来航路、部活の試合など皆さんが頑張っている姿を見てきて、心を打たれることも多くありました。夏休み前の今日、そんな操山生の皆さんに、私が感銘を受けた言葉を一つお伝えします。

それは、「いかなる困難も、自己を直視すること以外に乗り越えるすべはない」という言葉です。

この言葉は、東日本大震災が発生した7年前に、埼玉県にある立教新座中学校・高等学校長だった渡辺憲司先生が、震災のために中止を余儀なくされた卒業式の代わりに学校のホームページに掲載した「時に海を見よ」と題するメッセージの一節です。

渡辺先生は、卒業する生徒たちに向け、激励の意味を込めて、このように書かれています。
「時に、孤独を直視せよ。海原の前に一人立て。自分の夢が何であるか。海に向かって問え。青春とは、孤独を直視することなのだ。いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。海を見つめ、大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。」(一部抜粋)

皆さんの中には、「勉強しても成績が伸びない」、「部活動を頑張っても結果が出ない」「自分が将来、何をしたいのか分からない」など、いろいろな悩みを抱えている人もいると思います。皆さんの家族の方も、そして、私を含む多くの先生方も、皆さんと同じ10代の頃は、そうだったと思います。

では、どうやって乗り越えるのか。

それは、この渡辺先生のメッセージにあるように、いろいろな困難に直面し失敗するたびに、自分自身と向き合うことから次のステップが始まるのだと、私は思います。

誰かに「してもらう」、「やらされ」ている自分から、「自らする」意識に変えること。自分を支えてくれている周囲の人たちに、感謝の気持ちで接すること。人と自分を比べることを止め、未来に向けて、コツコツと学び続けること。この一瞬一瞬をかけがえのない時間と捉え、自分を信じ、常にベストを尽くすこと。

大切なことは、勉強や部活動で仮に目に見える成果が得られなかったとしても、その経緯を振り返り、今後の展望を論理的に自分の言葉で表し、それを実行することです。私は、これこそが、これからの大学入試で評価される「学びに向かう力、人間性」だと思っています。毎日の学習やいろいろな取組を振り返り、自分自身と向き合う。その地道な繰り返しこそが、人生という「物語」をつくるのです。

この夏休み。携帯の電源を切って、自分と向き合う時間を作ってみてください。そして、課題や部活などで忙しい合間に、1冊の本と出会ってみてください。その本は、自分を知るための「海」になるかもしれません。

最後に。
私は皆さんに、今回のような自然災害がいつ起こるとも限らない「社会」を、そして唯一の正解のない「未来」をたくましく生き抜き、みんなを励ましリードしていく力を身に付けてほしいと思っています。また、少しでも世の中を明るく、良くする人になってほしいと思っています。この岡山操山で頑張っている皆さんなら必ずなれる、私はそう信じています。

「いかなる困難も自己を直視すること以外に乗り越えるすべはない」。

この言葉を胸に、この夏休みを通して、今の自分を乗り越え、もっともっと素敵な人に成長してくれることを期待しています。人間としても一回り大きく成長した皆さんに、8月29日の2学期始業式でお会いできることを楽しみに、式辞をおわります。