岡山県立岡山操山高等学校

岡山操山中学校 通信制課程
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平成30年度 2学期始業式 校長式辞

2018年08月30日

H30.8.29(水)


皆さん、おはようございます。
2学期の始業式に、こうして皆さんの顔を見ることができて、とても嬉しいです。

この夏も、中学生・高校生とも、県内外の各種の大会等でとても頑張ってくれました。式の後に表彰伝達がありますので、皆さん、大きな拍手をお願いします。また、7月豪雨の被災地で、ボランティアとして汗を流した人もいるかもしれません。高3生の皆さんは、大学受験に向けて、努力を重ねてきたことと思います。

私は、日頃の忙しさにかまけて整理できないままだった新聞記事や資料をスクラップしたり、何冊かの新刊の本を読んだりして、ささやかな充電ができました。
その本の中の1冊に、東京大学名誉教授で、現代社会論が御専門の見田宗介先生が書かれた岩波新書『現代社会はどこに向かうのか-高原の見晴らしを切り開くこと』があります。見田先生は、私が大学時代から40年間作り続けているスクラップ帳に何度も登場する、日本を代表する社会学者です。
見田先生はその本の中で、「これまで」の世界と「いま」の世界を、「これから」の新しい世界にどうつなげ、よりよい社会を創造していくかを考えるキーワードとして、次の3つを挙げています。

1つ目は「肯定的であること」。
2つ目は「多様であること」。
3つ目は「現在を楽しむこと」。

「肯定的であること」とは、単に、今あるものを肯定するということではなく、今ないもの、本当に大切なものを肯定し、自ら積極的に作りだしていくことです。

「多様であること」とは、一人一人の幸福や尊厳を大切にしながら、いろいろな価値観をもつ多様な個人が共存することです。

「現在を楽しむこと」とは、新しい世界をつくるための活動自体が心が躍るもの、楽しいもので、その活動を通して、充実した悔いのない生き方をすることです。

操山生の皆さんには、これら3つを統合し、新しい世界を切り拓くための力や考え方を自らつくり出してほしいと思っています。

これから、松柏祭に向けた準備が佳境に入ります。私は、松柏祭は、生徒一人一人の積極的な参加によって、より素晴らしい岡山操山を創り上げる場であるとともに、皆さんが大人になって、よりよい社会をみんなの力で創り出すときに必ず生きてくる「経験」の場だと思っています。

松柏祭を成功に導くために、様々な価値観や考え方を持つ生徒たちがお互いのよさを生かし合いながら主体的に動き、校内のいろいろな場所で素敵な集団をつくっていく。それらがゆるやかなネットワークで結ばれながら、学校全体として大きなムーブメントになっていく。それは「社会」そのものだと私は思っています。

この本には、他にも、ある部族は「富める者」「豊かな者」と言う言葉に、「多くを人に与えることのできる人」という意味を込めていること、「人に喜ばれる仕事をすることは、人間の根源的な欲望である」こと、そして「人間の幸福のためのツールとしての資本主義だけが残る」ことなど、皆さんに紹介したいたくさんの言葉や思想がありますが、150ページほどの薄い新書なので、興味のある人は、是非、手にとって読んでみてください。

最後に。私は、未来の大人である「生徒主体の活動」を何よりも大切にしたいと考えています。その考え方の根っこには、かけがえのない存在である生徒の皆さん一人一人に対して「敬意を持って接する」という、教員としての信念があります。

思春期を生きている操山生の皆さんは、日々沸き上がってくる不安、絶望、恐れ、怒りなどのネガティブな感情に対し、自ら「肯定的な意味」を与えて自己の成長や改善につなげようと、必死に努力していると私は思っています。皆さんは本当によく頑張っています。
どうか、自分のよさや素晴らしさを認め、自分の限りない可能性を信じてください。もし不安や心配事、悩みなどがある場合には、遠慮することなく、私も含め先生方に相談してください。

私は、普段から「おもしろくない」「めんどくさい」「意味ない」「どうせ」などのネガティブな言葉を口にしないように心掛けています。いろいろな困難をチャンスに変え、自分自身を肯定し、支えてくれている人たちと人生を楽しみながら、ここにいる、未来をたくましく切り拓く力を持った素敵な若者たちと、よりより社会を共に創っていきたいと思っています。ポジティブ=肯定的であることが、現状から自分を解放し、より自由に新しい世界に導いていく鍵になります。

松柏祭が、そして、これから始まる2学期が、今まで以上に生徒の皆さん一人一人にとって、そして岡山操山中学校・高等学校にとっても、より素晴らしいもの、「More so than」なものになることを願っています。
お互いに頑張りましょう。そして生きることを思いっきり楽しみましょう。

これで式辞を終わります。