岡山県立岡山操山高等学校

岡山操山中学校 通信制課程
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令和元年度 一学期終業式 校長式辞

2019年07月20日

R1.7.19 11:00~

皆さん、こんにちは。  
早いもので、今日で1学期が終わります。4月から、日々の授業や未来航路、部活動など皆さんが頑張っている姿をたくさん見て、心を打たれることが数多くありました。高校3年生の皆さんは、保護者の方を交えた担任の先生との懇談も終わり、いよいよ「勝負の夏」を迎えます。  
今日は、私自身のささやかな体験を踏まえて、次の2つのことをお話します。  
1つめは「自分自身の将来を考えるヒント」について、2つめは「新しい自分になるためのポイント」についてです。  
まず1つめの「自分自身の将来を考えるヒント」について。  
私は本校に赴任して以来、先生方から依頼されて毎年、AO入試等の前に、生徒との模擬面接をしています。校長室で生徒と面接の練習をしている時、「校長先生はどうして先生になったんですか」と聞かれることがあります。
私は、「自分自身が高校生のころに抱いていた『こんな先生が学校にいてくれたらいいなあ』という思いを叶えるため、先生になった」と答えています。  
高3の夏休みに本当につらい出来事がありました。そのことをきっかけに自分の殻に閉じこもり、学校で誰とも口をきかなくなった時期がありました。そのとき、「自分の心の中を静かに聞いてくれる先生がそばにいてくれたら、どんなにいいだろう」と思いました。
たった10年間という短い教員生活でしたが、もし自分が目の前にいる生徒だったら、私にどんな授業をしてもらいたいだろうか、私からどんな言葉を掛けてほしいだろうかということをいつも考えていました。
仕事には、必ず「相手」がいます。学校の先生には生徒や保護者が、医者には患者やその家族が、警察官には守るべき市民が、お店には品物を買いにくるお客さんがいます。  
皆さんも、仕事を通してあなたが幸せにしたい「相手」は誰なのかを考えて、自分の仕事について考えてみてはどうでしょう。自分が本当にしたいこと、将来どんな自分になりたいかが見えてくるかもしれません。  
本校の中・高の先生方は、皆さんの立場にたって、常に全力で指導されています。つらいこと、しんどいことがあったら、自分の中にため込まないで、いつでも私を含む先生方に相談してください。補習科の生徒たちには伝えていますが、苦しいときには、校長室の明かりを見てください。出張の日以外は、皆さんが学校にいる間は、校長室にいるようにしています。  
2つめは、「新しい自分になるためのポイント」についてです。皆さんの中には、「今の自分がいやだ、生まれ変わりたい」と思っている人がいるかもしれません。  
私は、高校の先生になろうと大学に行きましたが、学問への強い思いもなく、周囲に流されながら何となく生きているという毎日でした。私が本気で学問に取り組み始めたのは大学2年の夏休みからでした。大学図書館で、ある新聞の第1面から最後のテレビ欄まで、10時間以上かけて読み通したことがきっかけでした。当時はインターネットという言葉さえない時代で、新聞がテレビ・ラジオと並んで主な情報源でしたが、現実の国内外の政治・経済の動きなど自分が何も知らないことを思い知らされるとともに、もっと世界の本質を知りたいと思うようになりました。  
それ以来、授業の後、自主的に書いたレポートを教授に提出したり、オーストラリアの大学で短期間学んだり、友人と勉強会を開いたりしました。大学院では、修士論文の執筆など本当にしんどい2年間を過ごしましたが、たくさんの素敵な人たちや本との出会いを通して、前向きな人間に変わっていったように思います。  
人間の脳は、目標を設定し、それに到達するまでの「努力の過程」で満足感を得るようにできています。将来なりたい自分になるために、ひたすら努力を続けること、また、視野が広がる経験をしたり、主体的に学ぶことを通して、新しい自分と出会うことができます。私は皆さんに、この「岡山操山」で、素晴らしい仲間たちと、そんな経験をしてもらいたいと思っています。
最後に。本校の中庭にある人見絹枝像は、今から30年前、創立90周年事業として建立されました。台座に書かれている言葉を読んだ人はいますか。それは彼女が書いた「スパイクの跡」という本に綴られている言葉です。  
「努める者は何時か恵まれる。私は賢明でない事をよく知っています。然し愚かなりとも、努力を続ける者が最後の勝利者となることを信ずる者です。」 
自分の時間は、自分の命そのものです。今この瞬間、自分にできる努力を惜しまないでください。そして、皆さんの努力は、未来の誰かの「希望」になると私は信じています。たくさんの人たちが、未来のあなた方を待っています。共に頑張りましょう。  
では、9月2日の2学期始業式で元気にお会いしましょう。