生物の実習

「生物の実習」にそった実験を紹介


  

実習24 DNAの抽出



目標

生物の設計図であるDNAが細胞に含まれることを確認する。


準備

  • [材料]  ブロッコリーの花芽もしくはタマネギ
  • [器具]  乳鉢・茶こし・ビーカー(100mL)・薬さじ・ろ紙・UVランプ・紫外線保護めがね
  • [薬品]  DNA抽出用液(塩化ナトリウム12gと台所洗剤20mL水を加え全体を200mLとしたもの)・エタノール・酢酸カーミン溶液・エオシンY溶液(もしくは食用色素赤1%)

方法

  1. ブロッコリーの先の花芽をカッターナイフ等で乳鉢に切り落とす。量は半房分程度。乳鉢で粒が残らないくらいよくすりつぶす。
    タマネギの場合,1個を縦に4つに切りそれぞれの内側半分程度から2/3程度を取り出し,包丁などでみじん切りにし,乳鉢で粒が残らないくらいよくすりつぶす。 
  2. 乳鉢に約10mLのDNA抽出用液を加え,乳鉢を両手で包み持って傾けながらゆっくり大きくまわす。すりつぶした植物にDNA抽出用液が一度は触れるくらいの程度でよい。かき混ぜてはいけない。 
  3. 10分間放置する。    
  4. 茶こしをビーカーの上に置き,抽出液をこす。
  5. 抽出液に約20mLのエタノールをビーカーの壁を伝わらせてゆっくりそそぎ,抽出液の上に層になるようにする。まもなく,抽出液側から上のアルコール層に白いふわふわした塊が浮き上がる。
  6. 薬さじでろ紙の上に⑤で浮き上がった塊をすくい取り,酢酸カーミンとエオシンY液をかけて様子を見る。
  7. また別のろ紙に⑤で浮き上がった塊をすくい取り乾燥させ,UVランプで紫外線をあててみる。紫外線保護めがねの着用を忘れないこと。

材料と薬品 花芽をよくすりつぶす。 よくすりつぶしてDNA抽出液を静かに加える。
乳鉢をゆっくり回した後10分間静置する。 茶こしで静かにこす。 エタノールをビーカーの壁面を伝わらせながら静かに加える。
エタノール層に白く浮いているのがDNAです。 上から観察 酢酸カーミンで染色される。

結果

方法⑤で浮き上がった白いふわふわした塊について
  1. スケッチを右の写真に描き加えてみよう。   




  2. 酢酸カーミン・エオシンY液をかけた結果,塊は染まったかどうか確認しよう。


      
  3. 紫外線をあてると,塊はどのように見えたか。




      

考察

  1. アルコール層に現れた白いふわふわした物質は何か。





  2. DNAは細胞のどこに含まれているのか。





  3. DNAを効率よく多量に取るにはどのような状態の細胞を用いればよいのか。






  4. 塩基性色素である酢酸カーミン,酸性色素であるエオシンYの染色の違いはなにか。






  5. 紫外線をあてた結果から考えると,DNAは紫外線を吸収するといってよいか。







  6. 今回のような実験は本来低温で行うことが望ましい。なぜか。








留意点

[薬品の役割について](指導資料より)

DNA抽出液について
細胞内で,DNAはタンパク質(ヒストン)と複合体を作っている。DNA-タンパク質複合体は1~2moℓ/L の食塩水に良く溶ける。塩化ナトリウムは水中で正電荷のナトリウムイオン,負電荷の塩化物イオンに解離し,ナトリウムイオンが核酸を取り巻き分子同士の反発を弱める。
洗剤(界面活性剤)は親水基をもち,細胞膜などの生体膜を溶解,破壊し細胞の内容物を抽出しやすくする。またタンパク質の構造を壊し,DNAとの相互作用を減らす役割も持つ。

エタノール
DNAはアルコールに対する溶解度が低く,また比較的比重も小さいのでエタノール中に浮いてくる。