生物の実習

「生物の実習」にそった実験を紹介
  

実習26 前肢骨格比較


目標

ニワトリの前肢である翼の骨格を調べ,進化という観点から,ヒトの腕と形態比較しながら相同性と適応進化を考察する。


準備

  • [材料]  ニワトリの前肢(購入した手羽先を,あらかじめ煮沸したもの)
  • [器具]  解剖用具・ビーカー(500mL 2個以上)・ガーゼ・アルコールランプ(バーナー)・マッチ・B6の厚紙(画用紙)・接着剤
  • [薬品]  5%水酸化ナトリウム水溶液

方法

  1. ニワトリの前肢の外形を観察し,厚紙に実物大にスケッチする。左右どちらの羽なのかも記録しておく。 
  2. 解剖用具を使って,皮や筋肉を大まかに除去する。 
  3. 関節をはずさないように注意しながらできるだけ骨を露出させ,①のスケッチの中に大まかに骨格のスケッチをする。    
  4. 関節部の骨の付き方に注意しながら,翼の付け根の方から順番に骨を1本ずつ取り外し,解剖皿の上などに正しく配置する。③のスケッチでに描き加えることで位置関係を把握しておく。
  5. それぞれの骨を5%水酸化ナトリウム水溶液に入れて徐々に煮沸する。このとき先端の小さな骨をなくすしやすいので,あらかじめ取り出しておき,後で別に煮沸した方がよい。
  6. 筋肉が溶け始めたら,ピンセットで取り出し,水を入れたビーカに入れよく水洗いする。ビーカの水を適宜換えながら行うとよい。長く煮沸しすぎると,間接部の細かな骨がバラバラになるので注意する。
  7. 各骨をよく水洗いした後,ガーゼで拭き厚紙のスケッチブックの上に接着し,復元する。

おなじみの手羽先 皮膚をピンセットでつまみ
ながら解剖ばさみで除去
し,筋肉を外す。
骨と筋肉

大まかな骨の位置を確認
する。
5%水酸化ナトリウムで15
~20分ゆでる。
骨を取り出し,正しい位置
に並べる。

1:とう骨 
2:尺骨
4:手根骨
5:手羽骨
6・8:中手骨
7:第Ⅱ指骨
9:第Ⅲ指骨



3:ミスです
前肢骨格と名称


結果

厚紙に復元したニワトリの前肢骨格をスケッチし,中手骨と指骨について,ヒトとニワトリの対応関係について推定し,それぞれの骨の名称を書き加えなさい。



考察
  1. ヒトとニワトリの前肢骨格を比較して,共通点,相違点をまとめよ。   




  2. ヒトとニワトリの前肢の機能の違いを比較し,前肢の進化を考察せよ。




      

(注)家庭で実習を行うときは,5%水酸化ナトリウムの代わりに入れ歯洗浄剤(○リデントなど)を使うとよい。また熱湯で煮沸した後,歯ブラシやハサミ・割り箸を用いて骨についた筋肉を除去するとよい。