生物の実習

「生物の実習」にそった実験を紹介
  

実習4 原形質分離


目標

植物細胞を高張液にひたしたときに起こる原形質分離を観察し,細胞膜・細胞壁の性質を考える。

準備

  • [材料] ユキノシタの葉(裏面が赤紫色のもの)・赤タマネギの鱗片・ムラサキツユクサのおしべの毛
  • [器具] 顕微鏡・検鏡用具・ラベルを添付した小型シャーレ(4個)・スポイド(5本)
  • [薬品] 0.10,0.20,0.30,0.40mol/L ショ糖液

方法

  1. 三角フラスコから小型シャーレにショ糖溶液を入れる。スポイドは混用しないようにする。      
  2. ユキノシタの葉を両手で持ち,赤色は透明の裏面表皮だけがはがれるように,ゆっくりと斜めに引っ張り,はさみで5㎜四方に切る。これをピンセットで2~3片ずつそれぞれのシャーレのショ糖溶液に浸す(図1)。
  3. 10分後,高濃度のショ糖溶液中の切片から順にスライドに引き上げ,そのシャーレのショ糖溶液を1滴スポイドで落とし,カバーガラスをかけて検鏡する。(図2
  4. 原形質分離が顕著に見られる細胞を2~3個,正確にすばやくスケッチする。(赤紫色の部分が細胞壁から離れている細胞が見えたら,原形質分離を起こした状態である。)
  5. 原形質分離が顕著に見られるプレパラートで,カバーガラスのはしにろ紙をあててショ糖溶液を吸い取ってから,他方からスポイドで水を注いで原形質の変化の様子を観察する。



ユキノシタは二号館北側通信制学習室付近に生育 ユキノシタの葉は裏面が赤いものを用いる。 ユキノシタの表皮はできるだけ薄くなるようにはぐ。

表皮を各濃度のショ糖液に10分浸す。 表皮をスライドガラスにのせそのショ糖液をスポイドを使って表皮にのせる。 空気が入らないようにカバーガラスをピンセットでのせて検鏡する。

結果
  1. 各濃度における原形質分離の程度を以下の記号で下表に記入せよ。視野全体で原形質分離を起こした細胞の割合が50%を越える:+,50%程度:±,50%未満:- とする。 


    ショ糖溶液の濃度(mol/ℓ)0.100.200.300.40
    原形質分離の程度



  2. 原形質分離が顕著に見られた細胞を2~3個,色の濃さにも注目してスケッチせよ。 
    0.40mol/L 0.30mol/L


    0.20mol/L 0.10mol/L


考察

  1. 結果1の表より,ユキノシタの細胞と等張のショ糖溶液の濃度はいくらか(ただし,50%の細胞が原形質分離を起こしているときのショ糖溶液がユキノシタの細胞と等張であるとする)。   




  2. 原形質分離を起こした細胞の色の濃さはどう変化したか。また,このことから何がわかるか。  



     
  3. 原形質分離を起こした細胞では,細胞壁と細胞膜の間には何が入っていると考えられるか。 



      
  4. ショ糖溶液を水と入れかえると,原形質はどう変化したか。その理由を述べよ。 



      

発展

ユキノシタの細胞の浸透性をショ糖溶液の濃度から次の式に当てはめて求めよ。
      浸透圧[気圧]=モル濃度×0.082×(273+実験時の温度[℃])

参考映像

サツキ(赤)とオオカナダモを用いて,原形質分離と復帰の様子を撮影しています。見たいものをクリックしてください。
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サツキの原形質分離過程
サツキの原形質復帰過程
オオカナダモの
原形質分離過程
オオカナダモの
原形質復帰過程