生物の実習

「生物の実習」にそった実験を紹介
  

実習21 アルコール発酵


目標

アルコール発酵によって二酸化炭素が生成されることを調べる。

準備

  • [材料]  ドライイースト(パン酵母菌)
  • [器具]  キューネ氏発酵管(2本)・ビーカー(100mL)・ピペット・5㎝四方にきったアルミ箔・500mLのビーカー・温度計
  • [薬品]  10%ブドウ糖溶液(または20%ショ糖溶液)・5%水酸化ナトリウム溶液・ヨウ素液・10%アルコール水溶液

方法

           
  1. 100mLのビーカーに水100mLとドライイースト10gを入れよく混ぜ合わせる。この混ぜ合わせた溶液を酵母液とする。 
  2. A液とB液を準備する。
      A液:方法①で作製の酵母液(20mL)+10%ブドウ糖溶液(20mL)
      B液:方法①で作製の酵母液(20mL)+精製水(20mL) 
  3. A液・B液を キューネ氏発酵管に入れる。図1を参考にして2本のキューネ氏管それぞれにA・B溶液を入れ,管口をアルミ箔でふさぐ。その際,盲管部に気泡が残らないようにする。    
  4. A・B溶液が入ったキューネ氏発酵管を図2のように静置し,変化を観察する。静置後10分がきたら,どちらかの溶液を入れた方の盲管部に気体が多く出ているかを観察する。
  5. (1)A液・B液を入れた発酵管それぞれにピペットを使って管口より5%水酸化ナトリウム溶液を2~4mL注入する。そして,親指で管口を強く押さえ管を上下左右に激しく振る。
    (2)10%アルコール溶液(10mL)+5%NaOH(2mL)+ヨウ素液(1mL) 上記混合液を70~80℃で1分間保温して,においを嗅ぐ。次にA液・B液をいれた発酵管それぞれにピペットで,5%NaOH溶液(2mL)+ヨウ素液(1mL)を入れ,においを嗅ぐ。
 




材料と薬品 盲管部に空気が残らないように注意する。 A液B液を用意し,アルミ箔を緩くかぶせる。



約40℃の温度で,発酵の過程を観察する。 左:A液 右:B液
約15分経過でA液から約12mLの二酸化炭素を確認できる。
⑤(1)で,二酸化炭素が全て吸収され,指が強く引きつけられている。

⑤(2)で,A液では,独特の臭いのあるヨードホルムができている。(エタノールの存在を示している。)

結果

  1. 方法④でどちらのキューネ氏発酵管の盲管部に気体がたくさん発生していたか。   




  2. 方法⑤(1)で,それぞれのキューネ氏発酵管で親指は,どのような刺激を感じることができたか。


      
  3. 方法⑤の(2)で,それぞれのキューネ氏発酵管で発生したにおいは,どのようであったか。



      

考察

  1. ブドウ糖溶液と精製水とで結果に違いが生じたのはなぜか。



  2. 水酸化ナトリウム溶液を入れて振ると,なぜ指が吸いつけられるか。



  3. 結果③からどのようなことが言えるか。



留意点

ドライイーストについて  従来のドライイーストは予備発酵を行ってから使うものでした。最近予備発酵不要のものが多く見られます。どこが違うのかメーカーさんに聞いてみました。
 回答:予備発酵が必要ないわけは、生ドライイーストを低温乾燥させて溶けやすくする為に顆粒状にしているからです。
 あらかじめ糖類は入っているわけではありません。例えばドライイーストの効力を試す場合は予備発酵を行います。容器の温水に砂糖を入れてそこにドライイーストを入れて混ぜます。5分ほど立つと泡立ち始め、更に10分ほどたってブクブクとしてきたら、効力はあります。ブクブクとしてこなければ効力はないと判断してください。