番外実験

現在の「生物の実習」にはのっていない実験や,楽しい実験を紹介します。
    

 バイオリアクターを使ったアルコール発酵

目標

バイオリアクターを用いて,アルコール発酵と温度の関係を調べる。


準備

  • [材料] ドライイースト(パン酵母菌)
  • [器具] ビーカ(100mL 2個・300mL 1個)・試験管・穴あきゴム栓・ゴム管・湯煎用ビーカ・ピペット・ガラス棒・水槽・温度計
  • [薬品] アルギン酸ナトリウム・乳酸カルシュウム・ブドウ糖溶液(ショ糖溶液)

方法

             [バイオリアクターの作製]
  1. 100mLのビーカーに,酵母菌5gを水40mLに溶かす。     
  2. 100mLのビーカーに,アルギン酸ナトリウム1gを湯40mLに溶かす。溶けにくいので,湯煎にしてかたまりがなくなるまで完全に溶かす。溶けたら40℃以下になるまで冷ましておく。     
  3. ①に②を加えて,よく混ぜる。     
  4. 300mLのビーカーに乳酸カルシウム2gと水200mLを入れ、スターラーに置き攪拌する。
  5. ③の混合液をピペットに取り,乳酸カルシウム水溶液上で滴下してバイオリアクターを作製する。作製したバイオリアクターはざるにあけ,2~3回水で洗う。乳酸カルシウム溶液は何度も使える。通常バイオリアクターは冷蔵庫で保存可能。



材料と薬品 酵母溶液とアルギン酸ナトリウムの混合液を滴下する。 作成したバイオリアクター

試験管バイオリアクターとショ糖液を入れセットする。 水上置換で,メスシリンダーに発生した気体を計測する。 水温は常温,40℃,70℃で発生した気体の量を測定する。

バイオリアクターの周囲から,気泡が発生している。

[酵素反応]
  1. 100mLのビーカーに,ブドウ糖10gを水90mL溶かす。ショ糖を使う場合は20%水溶液にする。  
  2. 試験管に,バイオリアクターを5mL,10%ブドウ糖溶液10mLを入れる。
  3. 試験管にガラス管をさしたゴム栓とビニール管をつなぎ先を,水槽に水を満たした100mℓのメートルグラスに差し込む。 0℃,20℃(室温:実験を行った日は32℃であった),42℃,70℃に温度を設定したビーカーに入れ,10分間程度予備的な発酵(泡が盛ん出でるようになるまで)させた後,5分間の二酸化炭素の発生量を測定する。
  4. ③の結果をグラフに落とす。

結果

40℃で実験を行った結果を示している。実験を3回行いその平均値をとっている。
Fig.1はその平均値をグラフ落としたものです。

時間(分) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70
発生量(ml)0.02.33.34.7 7.09.010.712.313.314.7 16.317.018.018.719.7



                                   Fig.1

0℃と70℃で同様の実験を行ったが今回は各温度で,二酸化炭素の発生量が計測できる範囲になかった。


発展

バイオリアクターについて
 酵母菌を使ったアルコール発酵実験では,バイオリアクターを使うことができます。バイオリアクターは,ゲル状のアルギン酸ナトリウムの中に酵母菌を封じ込められているため,酵母菌が活性状態であれば,何度でも繰り返し使用できます。
カプセルの中の酵母菌はカプセルから出ないで,ショ糖溶液はカプセルの中に入ることができる。そのため酵母菌はショ糖を二酸化炭素とアルコールに分解するアルコール発酵を行っている。
 人工イクラのページでも扱っているので参考にしてください。