培養室の住人

培養室や生物教室で飼育している動植物を紹介します。


動 物



アメーバ

アメーバは、単細胞で大きさは10-100μm程度である。細胞内には核・食胞・収縮胞等があります。核は単核のもの、多核のものがあり、分類群によって異なっている。細胞の後端には円盤形の収縮胞が一つあり,基本的に鞭毛や繊毛をもたず移動の際は細胞内の原形質流動によって、進行方向へ細胞質が流れるに従い、その形を変えるようにして動くことができ,この運動をアメーバ運動という。この時に原形質流動によって突き出される部分を、仮足または偽足といい,仮足の先端は幅広く丸くなっており、プラズマレンマという透明な層が見られます。
培養はチョークレー液(原液を100倍希釈)に洗った米粒をいれ,水カビのキロモナスを育て,それをアメーバに捕食させることで培養している。
細胞器官の観察,アメーバ運動,捕食行動生殖活動等の観察に使用。
アメーバは移動中に進行方向に仮足を出し,その方向に進むことができる。
アメーバーの捕食は細胞全体を変形させ餌となる原生動物(例えばゾウリムシなど)を取り囲み消化する。消化できないものは細胞後端から排泄する。



ショウジョウバエ

通常ショウジョウバエといえばキイロショウジョウバエをさすことが多い。①飼育が簡単②一世代が短い③子孫が多い④ミュータントが多い⑤だ液腺染色体がある等に理由で,遺伝の実験によく使われます。操山では野生系(赤色目)・白色目・痕跡羽・黒体色を飼育中です。余談ですが和名は、代表的な種が赤い目を持つことや酒に好んで集まることから、顔の赤い酒飲みの妖怪「猩々」にちなんで名付けられました。
遺伝の実験に用いる他に成長曲線を見ることもできる。







画像は愛媛大学理学部生物学科動物遺伝学研究室HPより
野生型メス
野生型オス



ゾウリムシ

ゾウリムシは,繊毛虫門 貧膜口綱ゾウリムシ目に属し,池や沼などで比較的容易に見つけることができます。細胞の長さは 0.2~0.3 mm,幅は 0.1 mm程度で,多数の繊毛が列をなして細胞全体を被っている。二種類の核,大核(栄養核)と小核(生殖核)があり,他に収縮胞とよばれる浸透圧を調節する装置や,細胞口,食胞,細胞肛門といった栄養摂取に関連した器官があります。
ワラ煮出した汁で培養し,枯草菌をエサとしている。
観察には,塩化ニッケルで麻酔をして行います。食胞形成過程実験,走性実験
カラーゾウリムシの作り方
ゾウリムシの培養液にポスターカラーを少量加え,次に別の色のポスターカラーを加え,20分程度放置する。ポスターカラーは細胞口から食胞に閉じこめられます。餌は食胞で消化されるがポスターカラーのように消化されないものは細胞肛門から排泄されます。
ゾウリムシ
カラーゾウリムシ



ブレファリスマ

画像は近日中に公開します。 「ブレファリスマ」は赤いゾウリムシとして知られている。ブレファリスマは、原生動物の仲間で,ブレファリスマ科ブレファリスマ属に属する。
KCM溶液に洗った米粒を入れて飼育する



ヒドラ

ヒドラは淡水に住む1㎝程度の腔腸動物門(ヒドロ虫網ヒドロ虫目)で,通常群体を作らず、浅い池の水草の上などに生息しています。体は細い棒状で、一方の端は細くなって小さい足盤があり、これで基質に付着する。他方の端には口があり、その周囲は狭い円錐形の口盤となり、その周囲から6~8本程度の長い触手が生えている。触手を伸ばして捕食する。ただし刺激を受けると小さく縮む。触手には刺胞という毒針を持っておりミジンコなどのエサが触手に触れると麻痺して食べられてしまう。全身は透明がかった褐色からやや赤みを帯びている。雌雄異体で,通常は無性生殖(出芽という)を行う。再生能力がある。
培養には,”●万十川の水”(スーパーで購入)を用い,餌は1週間に1回アルテミアの幼虫を与えている。増やしたいときは,1週間に3回程度与えるとよい。
捕食行動,再生,刺胞発射等の実験に用いる。
出芽
触手と腔腸内に餌のアルテミアの幼虫が確認される。
出芽を持つヒドラ



プラナリア

プラナリアは、扁形動物門ウズムシ網ウズムシ目ウズムシ亜目に属する体の表面に繊毛が生えており,繊毛を動かして移動する。再生能力が著しく再生過程で遺伝子や脳形成研究に使われます。
飼育には,カルキを抜いた水道水を使用し,エサは冷凍アカムシを与えている。
再生,走性実験
参考図書館:「切っても切ってもプラナリア」阿形清和著
「プラナリアの生物学」・「プラナリアの形態分化」手代木歩著
一般的なサイズ
水温13~15度暗室で飼育すると巨大化する。



ミジンコ

ミジンコは、鰓脚(さいきゃく)綱 枝角目(ミジンコ目) 異脚亜目 ミジンコ科 ミジンコ属に属する甲殻類である。大きな触角があり,その触角を激しく動かして移動している。体は左右2枚の殻で被われており頭部に複眼1個ある。
培養室で水温20℃程度で飼育,エサはメダカのエサをすりつぶしたものを1週間に1回与える。
環境による心拍数の変化,走行性,食物連鎖の実験