培養室の住人

 

培養室や生物教室で飼育している動植物を紹介します。


植 物



オオカナダモ



オオカナダモは、被子植物門単子葉植物網で,南米原産の外来種である。コカナダモも同様に帰化した。在来種のクロモの識別について一覧にしたものを示しておきます。
水槽でメダカとともに栽培。
原形質流動,原形質分離,光合成速度の測定,水草の紅葉実験に使用。
上からオオカナダモ
コカナダモ
クロモ
輪生葉
種類輪生葉の数長さ鋸葉と棘細胞茎葉の状態
オオカナダモ通常420㎜~30㎜3㎜~6㎜明瞭140μ程度葉のよじれ葉少なく折れにくい
コカナダモ10㎜~15㎜1.2㎜~2㎜不明瞭60μ程度葉はよじれて硬く折れやすい
クロモ4~710㎜~20㎜1.5㎜~2.5㎜明瞭130μ程度葉は反り返り硬く折れやすい



セイロンベンケイソウ


セイロンベンケイソウはベンケイソウ科カランコエ属に属し,熱帯各地に分布し沖縄や小笠原に野生している。無性生殖の例に取り上げられ,葉に不定芽を作り繁殖する。要因として葉が茎から切り離されると,葉の鋸葉の上の細胞が分裂を始めて発根し不定芽を形成します。もう一つの要因は葉で作られた植物ホルモン(インドール酢酸など)が移動できず,その刺激で葉緑の細胞分化が始まります。(進化生物学研究所HPより一部抜粋)
生物教室で育成



ホテイアオイ


ホテイアオイは南米原産の帰化植物で,本土中部以南で野生化し各地の湖沼で大繁殖して問題となっています。ミズアオイ科ホテイアオイ属で,葉は丸く光沢があり,葉柄が袋状に膨らむ。根はひげ根が多く発達している。夏に花をつけ,終わると花茎は水中に入り果実を成長させる。
第2生物教室で繁殖中
根がよく発達している



フラスコモ


フラスコモは車軸藻網に属している。淡水に生息し,10㎝~50㎝程度に成長する。中心に主軸があり,放射状に小枝(しょうし)が伸びており,小枝はさらに1回分枝している。特徴は造精器,造卵器という生殖器官を持つことです。
原形質流動にはフラスコモの節間細胞を用いる。図のa,b2ヵ所を切り取りa,b間の節間細胞をスライドガラスにのせ,水で封じ検鏡する。

フラスコモ先端
原形質流動



ボルボックス


ボルボックスは緑藻網ボルボックス科に属し,数千の単細胞生物が集まって群体を形成している。群体は直径数百μm程度の球体で,体細胞は葉緑体を持ち,2本の鞭毛を動かして移動することができる。春から夏にかけて無性生殖を行い、群体の内部にあるゴニジアとよばれる生殖細胞が分裂して新たな群体(娘細胞)を作る。成長して外に出て親群体となる。
試験管に沸騰させ常温にさましたイオン交換水と粉末ハイポネックスを入れ、20℃で培養室で培養。
下の画像は,娘細胞が母細胞から出ようとしている所。



ミズアオイ


ミズアオイは,ミズアオイ属ミズアオイ科の1年草でほぼ全国の水田・沼地・池・河川などに分布しています。草丈は20~50㎝,葉は5~25㎝の葉柄があり葉の形はハート形で光沢があり,9~10月に青紫色の花を付けます。種子は土壌中に落ち,一部は発芽しないでシードバンクを形成する。現在除草剤や基盤整備のため激減している。環境省RDBでは絶滅危惧種Ⅱ類に,岡山県RDBで絶滅危惧種に指定されています。マルバノキ,フサヒゲルリカミキリも同時に指定されています(2004.7.15)。
第1生物教室南外で生育

ミズアオイの花
現在の様子(12月)