生物の実験

  [生物の実習」に添った実験を紹介

実習27 生存曲線


 

目 標

動物にはその種特有の生理的な寿命がある。現実には何らかの原因によって多くは寿命に達する前に死亡する。今回の演習では,時間経過に伴う生存の減少パターンはそれぞれの動物の生殖様式と密接な関係を持つという認識を,具体的な数値を処理していくことで深める。


演 習

下の表はいろいろな動物の生命表(年齢が進むにつれての生存個体数の変化を表した表)をまとめたものである(最初の個体数は1,000とする)。この表について死亡率(個体数)の欄を完成させた後で,年齢と個体数の関係をグラフに示せ(なお年齢は相対的な値で表してある)。



相対年齢 A B C
個体数 死亡率(%) 個体数 死亡率(%) 個体数 死亡率(%)
0 1000 73 1000 63 1000 98
10 273 4.8 374 40 40
20 260 3.8 226 12 8.3
30 250 1.6 141 38 11 18
40 246 0.8 87 45 11
50 244 48 49 13
60 232 5.6 25 48 29
70 219 29 13 54 20
80 155 54 67 25
90 72 99 50 67
100
表1

(注)死亡率:ある年齢の全個体数に占める,次の年齢に達するまでに死亡した個体数の割合とする。
例えば,Aにおける0歳の死亡率は
         (1000-273)/1000 ×100=73(%)
となる。
表1の穴埋め   ア:4.9   イ:38    ウ:20

考察

  1. それぞれの動物について,年齢に伴う個体数や死亡率の変化の特徴を示せ。


  2. AとCを次の点で比較せよ。


    産卵(仔)数 親の保護の程度
    A
    C


  3. 次の動物はA~Cのどれに最も近い生存曲線を示すか。
    ①ヒバリ(小型の鳥類)[    ]   ②ホンモロコ(魚類)[    ]
    ③ドールマヤマヒツジ(ほ乳類)[    ] 





付1 表計算ソフトの基本と機能


表計算ソフトは計算,シミュレーション等で大変役立ちます。いろいろな計算が一度ででき,縦横に合計したり,関数を利用した計算もできます。グラフ作成,統計処理などの機能も充実しています。ここでは,よく利用されている表計算ソフト(Excel)を利用します。


  1. データ入力を保存
     1つ1つのマス目(セルという)単位でデータの入力・編集ができます。それらの縦(行)と横(列)の集まりを表といい,1枚のシート(sheet)となる。それらのシートの複数枚単位をブック(book)と呼び,それを一つのファイルとして保存・読み出しが行われます。シートにはグラフ作成もできます。エクセルの操作は上段のメニューバーのメニューをマウス等で選択して作業を行います。実際の画面を下に示しています。
  2. グラフ作成
    面グラフ,棒グラフ,折れ線グラフ,円グラフ,レーダーチャートなどのグラフが作成できます。実際に折れ線グラフを作成し,その流れを以下のように行ってみましよう。
     データの入力 →グラフを作成したいデータの範囲を選択する →グラフウイザード(H) →
     グラフの種類の指定 折れ線グラフ→形式(T) →データ範囲(D) →グラフオプション設定 →グラフ表示
     →完成したグラフの位置や大きさ等の調整
    の流れで行います。
  3. 関数の利用
     総和(sum関数),平均(average関数),対数(log)など。

図1

表計算ソフトを利用


  1. データ入力
     A1~A13とB1~G2番地には相対年齢と個体数・死亡率(%)の文字をそれぞれ入力する。B3~G13には数値データを入力します。
  2. 計算式の入力(死亡率アイウの求め方)
     C8番地に=入力後,(を入力しそこにB8をクリック後-を入力し,B9をクリック後)を入力する。次に/と*を入力しテンキ-から100と入力し,Enter キ-を入力すします。セルに4.918033・・と表示されるので小数点以下1位までをとります。なおC8にカーソルを合わせると,数式バーに次のような数式 (B8-B9)/B8*100 が表示されます。
  3. 同じ計算式をコピー
     C8をE5にコピーします。
  4. グラフの作成
     グラフ作成したいデータから,グラフ化する範囲を選択します。


    図2


    データ範囲を選択後,ツールバーのグラフウイザードのアイコンをクリックします。グラフの種類は折れ線グラフィを選択します。「次へ」を押してグラフオプションの設定をしていきます。グラフ作成場所は,「オブジェクト(O)」を設定します。


    図3

    グラフの位置は,マウス操作で自由に変更することができます。
    以上がグラフウイザードの手順です。グラフの各構成要素は,作成後自由に追加したり変更できるようになっています。
    出来上がったものが,図1です。

  5. 見やすいグラフの作成

    下の図4と図5のグラフを比べて,どちらが分かり易いですか。図4は表1のデータをそのままグラフにしています。グラフは一般的に数値軸は目盛りが等間隔になっており,全データの差が大きいときには,差の小さいデータはグラフには表しにくいことになります。
    そこで,グラフの軸を対数軸(目盛りの間隔が等差ではなく等比的に変化すること)にすることで,変化が分かり易くなります。図5のグラフは対数軸にしています。変化の傾向が分かり易くなっています。


    図4


    図5


    対数軸にする操作手順は,
     数値軸上で右クリックします。
     軸の書式設定 →軸の書式設定ダイアログの目盛タブをクリック 
     →対数目盛を表示するのチエックボックスにチェックを入れる→軸の書式設定ダイアログの「OK」ボタンをクリック
    で,数値軸が対数軸になります。(図6参照)


    図6



    死亡率のグラフ

    図7