3月10日(日)10:00より「平成30年度岡山県立岡山操山高等学校通信制課程並びにNHK学園高等学校の卒業証書授与式」を挙行しました。
*操友会とは、通信制課程の同窓会の名称です。


校長式辞
梅の花が風に舞い、早春の息吹が感じられる今日の佳き日、岡山県教育庁文化財課総括副参事 柴田英樹様、操友会会長 森西靖憲様、NHK岡山放送局局長 岩谷可奈子様をはじめ、多数の御来賓の皆様、保護者・御家族の皆様の御臨席をいただき、「平成三十年度岡山県立岡山操山高等学校通信制課程」並びに「NHK学園高等学校」の「卒業証書授与式」を、このように厳粛に挙行できますことは誠に大きな喜びであり、教職員、在校生と共に、厚くお礼申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました岡山操山高等学校七十九名、NHK学園高等学校九名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
今日の卒業に至るまで、皆さんは、自学自習を基本にレポートに取り組むとともに、日曜日には本校に登校し、スクーリングや試験を受けるなどの努力を積み重ねてこられました。その過程で得られたものは、単位の修得や高校卒業の資格だけではなく、一つのことをやり遂げたという達成感と成就感、そして自分自身への信頼、自信ではないかと思います。是非、この感慨を胸に、今日からまた新しい歩みを力強く始めてください。
また、今日の御卒業は、皆さんの努力の賜物であることは当然ですが、同時に、皆さんを支え励ましてくださった保護者や御家族の皆様の限りない愛情の賜物でもあります。保護者、御家族をはじめ周囲の方々への感謝の気持ちを、どうぞ忘れないでください。
さて、私から、卒業される皆さんに、一つだけはなむけの言葉を贈ります。それは、明治・大正期の文豪・森鴎外の「日の光を藉(か)りて照る大いなる月たらんよりは、自ら光を放つ小さき燈火(ともしび)たれ。」という言葉です。「太陽の光があってはじめて光る大きな月よりも、自ら光を放つ小さなろうそくでありたい。」という意味ですが、私はこの言葉から、本校通信制で学ぶ皆さんの姿が目に浮かびました。
その理由は、二つあります。
一つ目は、ここにいる卒業生の皆さんは、だれかに照らしてもらう存在から、小さなろうそくと同じように、自ら光を放つ人に成長されたからです。皆さんは、通信制課程という、自学自習を基本とするとても厳しい学習環境を自ら選択し、地道な勉強を続けてこられました。たとえ小さな光であっても、進むべき道を自分自身で照らしながら一歩ずつ前に進んできた皆さんは、本当に立派です。
二つ目は、皆さんは、月と小さなろうそくのように、他の人と自分を比べることなく、自分の人生を肯定し、前向きに「努力」という光を放ってこられたからです。皆さんは「自分に何が与えられたかよりも、それをどう使うかが大切だ」と私に教えてくれました。
通信制での学習や生活を通して、皆さんは、自らの意志で自分自身を変えることのできる人に成長されました。自分が変わらなければ、どこに行っても同じです。本校で友人と話したり、一緒に行事に参加したりすることを通して、人間としても大きく成長されました。
悩んだり立ち止まることは決して恥ずかしいことではなく、倒れても倒れても立ち上がるところに、人としての素晴らしい価値があると私は思っています。
皆さんの長い人生においては、たとえ小さな光であったとしても、本校通信制での努力を自信に変えて、堂々と胸を張って自分の人生を生きてください。そして、自分を照らすだけでなく、他の人を照らすことのできる人になってください。
保護者及び御家族の皆様にも、心からお祝いを申し上げます。卒業を迎えられた生徒の皆さんの志を御理解くださり、今日に至るまで陰に日向に慰め励まし、御支援いただきましたことに心から感謝申し上げます。また、これまで本校教育に賜りました御理解と御協力につきましても、厚くお礼申し上げます。
結びに、御臨席を賜りました御来賓の皆様、保護者・御家族の皆様に、これからも卒業生たちの歩みを温かく見守ってくださいますようにお願い申し上げまして、式辞といたします。
平成三十一年三月十日
岡山県立岡山操山高等学校
校長 近藤 治