形質転換 その2
結果(可視光線)
結果(UV照射)
結果
結果の一例を表示します。
培養条件:37℃ 培養期間:3~4日
(A) +DNA LB/amp | (B) +DNA LB/amp/ara |
コロニ- 346個 蛍光 無 | コロニ- 440個 蛍光 有 |
(C) -DNA LB/amp | (D) -DNA LB |
コロニ- 0個 蛍光 無 | コロニ- ∞個 蛍光 無 |
実験を成功させるためのポイント
- 実験前
- 形質転換用溶液(Bu),LB培地,プラスミド溶液は氷冷しておく。
- 実験中
- 各操作段階で,大腸菌の状態を把握しておく。
- 植付け用ループやピペットの取り換えに注意する。
- ヒートショックの時間を厳密に計る。
- 大腸菌の状態を考え,タッピングをむやみに行わない
- 実験後
- 使用した器具・試薬の処理を厳密に行う。
- 実験終了後は,手・机上をアルコール消毒する。
トラブルシューティング
- 白衣の着用。
- 実験前後には,手を70%エタノールで消毒する。この時実験台も拭き,それが乾いてから実験を開始する。
- チューブの持ち方,ループやピペットの取り出し方など,器具の取扱いに気をつける。
- 使用した使い捨て器具・試薬は机の上などに置かず,所定のゴミバックに入れる。大腸菌に触れなかったものは普通ゴミとして処分する。
- 皮膚や衣類が,万が一大腸菌に触れた場合は70%エタノールで殺菌して,水で洗い流す。
- 実験室の扉・窓は閉じておく。
用語解説
- DNAリガーゼ:組み込んだDNAを組み込まれたDNAと結合させる酵素。
- Green Fluorescent Protein:Green Fluorescent Protein(GFP)は生物蛍光を発するオワンクラゲ、Aequreavictoriaから単離されたタンパク質です。GFP遺伝子は最近になってクローン化されました。特徴的な構造ゆえに、紫外線を照射するとそのエネルギーを吸収し、吸収されたエネルギーは緑色のきれいな光となって放出されます。
- pGLO:GFP遺伝子とアンピシリン耐性であるβ-ラクタマ-ゼ遺伝子を含むプラスミド。
- アラビノース:甘味料の1種。バクテリアが通常食物として利用する。
- アンピシリン:抗生物質の1種。
- 形質転換用緩衝液 :形質転換用緩衝液 (50mM CaCl2、pH7.4)中のCa2+イオンがDNA(plasmid)の負電荷(リン酸基を持つため)を中和し、同じく負電荷を持つ、細胞膜のリン脂質との静電的反発をやわらげます。そして、DNAは細胞膜の外側から内側に通り抜けることができるのです。
- コロニー:寒天培地上で生育した、同じ遺伝子を持つ細胞の凝集塊。一つのコロニーにあるすべての細胞は同じ遺伝子を持つので、クローンと呼ばれます。
- 培地:液体や寒天(LB)培地は,バクテリアの生育をサポートする固形物質。炭水化物やアミノ酸、ヌクレオチド、無機塩類、ビタミンを含みます。
- ヒートショック:ヒートショックを与えることにより、DNAの細胞膜を通り抜ける割合が増加します。細胞の種類により異なります。
- プラスミド:細菌などに存在する主のDNAとは別のDNA。環状のDNAで、自己複製ができます。抗生物質耐性タンパク質やGFPのようなクローン化された他の生物の遺伝子を組み込むことがでます。
- ベクター:運び屋DNA。今回のプラスミドのように、他の生物からのDNA断片を組み込まれ、宿主となる細胞に導入される、自己複製するDNA分子
ピペットの説明
ピペット:使い捨てピペットは,減菌した状態で1本ずつ袋に入っている。直前に袋から出し使用する。100μL~1mLを採集できる。
ループの使い方
- ループは,減菌した状態で袋に入っている。直前に袋から出し使用する。
- 菌を塗布するときは,ループ先の輪の部分を培地表面と平衡に滑らせるように,手早くプレート表面をできるだけ広範囲に広げる(上右図)。
コロニーの数え方
- 裏返して数える。
- コロニー数が多い場合,4等分(8等分)してサインペンでマークしていく。それぞれ30~50個までは数えられ,4倍(8倍)する。
- 上右端図のように全面に生えている場合は∞とする。
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