岡山県立岡山操山高等学校

岡山操山中学校 通信制課程
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 「ヘレン・ケラー」

2025年10月29日

 10月3日、開校記念行事として芸術鑑賞会が、岡山芸術創造劇場ハレノワで行われました。岡山操山高校の開校は、昭和24年10月1日です。戦後の学制改革により、第一岡山高等女学校から移行した岡山第一女子高校と、第二岡山中学校から移行した岡山第二高校の2校が、高校再編成によって統合して、岡山操山高校として開校しました。

 学校長の式辞の後、東京演劇集団風による「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」の鑑賞です。以下、生徒の感想です。

 『伝記劇として予備知識を持って席に着いたはずなのに、幕が降りた後、私の手のひらには、まるで水が落ちたかのような、冷たくも熱い感覚が残っていた。

 この劇が描くのは、三重苦の少女ヘレンと、彼女の家庭教師となったアニー・サリバンとの間の、壮絶な「戦い」だ。ヘレンの行動はすべてが衝動的で、「野生」そのもの。ケラー家の誰もが諦め、愛情という名の鎖でヘレンを動物のように扱っているように見えた。そこに現れたのが、サリバン先生である。彼女自身、過去に視覚障害を抱えていたという背景が、ヘレンを救う「意地」となって舞台上に溢れ出す。何度も繰り返された二人の肉弾戦のようなぶつかり合いは、ヘレンの内にある「人間性」を引きずり出そうとする、魂と魂の激しい衝突だった。                                  

 劇のクライマックス、あの瞬間、サリバン先生がヘレンの手に綴った「W-A-T-E-R」は、ただの単語ではなく、ヘレンの心の扉を開く鍵となった。ヘレンが「水」の意味を理解し、次々と身の回りの物に触れ、その名前を知ろうと指文字をせがむ姿は、知識への飢え、そして生きることへの渇望の表れだった。

 劇場を出て空を見上げたとき、日常のあらゆるものが、改めて輝いて見えた。私たちが当たり前のように持ち、使いこなしている「言葉」と「感覚」が、どれほどの奇跡の上に成り立っているのか。本当の意味での「幸福に生きる」とはどういうことか。手に残る冷たい水滴の感触は、この劇が残した永遠の問いかけのように感じられた。』

 終演後、希望者による舞台見学が行われました。演劇を目の前で見られる貴重な1日でした。